調査・研究・技術

新技術への挑戦

国土交通省は2011年度より下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)を推進しており、当社では、これまで2案件の採択を受け、国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)からの委託事業として、実施いたしました。

B-DASHプロジェクトとは

Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Projectの略称で、新技術の研究開発と実用化を加速することにより、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコスト縮減などを実現し、併せて、日本企業による水ビジネスの海外展開を支援するため、国土交通省により行われている事業のこと。

ICTを活用した総合的な段階型管路診断システムの確立にかかる実証研究

2018年度「ICTを活用した総合的な段階型管路診断システムの確立にかかる実証研究」が、B-DASHプロジェクトとして採択され、CWO・日本下水道事業団・大阪市共同研究体で実施しました。研究実績は、「技術導入ガイドライン(案)」として策定し公表されています。

ICTを活用した総合的な段階型管路診断システムの確立にかかる実証研究の図

IoTとAIを活用した効率的予防保全型マンホールポンプ維持管理技術の実証研究

2020年度「IoTとAIを活用した効率的予防保全型マンホールポンプ維持管理技術の実証研究」が、B-DASHプロジェクトとして採択され、CWO・クボタ、河内長野市・今治市・赤磐市共同研究体で実施しました。研究実績は、「技術導入ガイドライン(案)」として策定し公表されています。

IoTとAIを活用した効率的予防保全型マンホールポンプ維持管理技術の実証研究の図

技術開発・調査研究

現在の下水道事業は、災害対策や施設老朽化などへの対応強化が求められている一方で、人口減少に伴う財源不足や技術継承の担い手不足などの経営課題に直面しています。当社は、このような下水道事業が抱える諸課題を包括的に解決すべく、調査研究や技術開発に積極的にチャレンジしています。

3W処理法の分流式下水道不明水対策への応用

3W処理法(雨天時下水活性汚泥処理法:Wet Weather WastewaterTreatment Method)は、雨天時に流入する下水の一部を反応槽の後段に流入させ、少しでも多くの下水を沈殿処理だけでなく生物処理するための方法です。この方法は、導入に必要な機械設備の改造が少なく、汚濁負荷削減効果が高いという特徴があり、大阪市の合流式下水道改善手法として市内全12処理場に適用され成果を挙げています。今後、3W処理法を、合流式下水道の改善対策だけでなく、分流式下水道の不明水対策における基幹対策として全国展開を図るため、設計手法、運転手法、維持管理手法の再整理を行っています。

3W処理法の分流式下水道不明水対策への応用の図

アナモックス技術を用いた脱水分離液処理施設の運用状況の評価と維持管理手法の確立

下水汚泥を処理する過程では高濃度のアンモニア態窒素を含む脱水分離液が発生するため、大阪市は、1処理場にアナモックス菌を利用し窒素を分離・放散させる脱水分離液処理施設を整備し、当社はその維持管理を行っています。今後、他の処理場へ導入するにあたっての、維持管理手法の確立に向けて、当社では、独自の調査、データ整理を行い、総合的な処理評価、影響評価、活性状況の評価などを行っています。

脱水分離液処理施設全景

脱水分離液処理施設全景